
突然ですが、みなさんの頭皮は柔らかいですか?
と言うのも、自分の頭皮の硬さに気づいていない人は意外と多いのです。頭皮の硬さは「お顔のたるみ」「頭痛」「肩こり」などにも影響してしまうことがあります。常に柔らかい頭皮を保っておくと、健康な髪を育むことにつながります。日常的にできる柔らかい頭皮を保つ方法や効果的な頭皮マッサージの仕方を現役美容師がご紹介します。
―プライベートサロン『Liss』(恵比寿)渡辺 真一さん
あなたの頭皮は柔らかい?セルフチェックをしてみましょう
頭皮が硬くなるのは、頭部の血行が滞っているため。皮膚や髪の栄養は、血流によって運ばれますから、頭部が硬いと、健康な髪が作られなかったり抜け毛や薄毛を引き起こしたりすることにつながります。
頭皮の柔らかさチェック方法1、頭皮を動かしてオデコと比べてみる
まず、おでこを前後左右に動かしてみて下さい。その後、頭頂部付近を前後左右に動かしてみて下さい。頭皮は動きますか?
本来、頭皮とオデコはほぼ同じ程度に動きます。
おでこと同じ程度に前後左右に動かないようであれば、頭皮が硬くなっている証拠です。また、前後には動くけど左右にはあまり動かない、という場合も頭皮が硬くなってきています。
前後左右に動く頭皮が、「柔らかい頭皮」と言えます。
頭皮の柔らかさチェック方法2、頭皮がつまんでみる
指で自分の頭皮がつまめるかどうかをチェックしてみましょう。
チェックポイントは、「襟足」「後頭部」「耳の上付近」「頭頂部」です。
特に気を付けてチェックすべきポイントは「頭頂部」。頭頂部が他の箇所のように指でつまめないようであれば、頭皮が硬くなっています。
頭皮を「つまめる」とは?
「頭皮をつまんでみてください」と伝えると「つまめるとは、どの程度つまめれば良いのか?」という質問をいただくことがあります。
目安をお伝えすると、頭頂部をつまんでみて、襟足やサイドの部分等よりもつまめない場合は、「つまめない」の判断でよいかと思います。
頭頂部は硬くなっている方が多くいらっしゃいますが、それ以外の部分(襟足・サイドなど)は、多少つまめるかと思いますので、そちらを目安にしてみてください。
おでこと比べる方もいらっしゃいますが、頭皮は、おでこ程つまめなくても問題ないかと思います。
頭皮の色をチェック
頭皮の健康は、見た目でチェックすることもできます。髪をかき分けて、頭皮を見てみましょう。頭部の皮膚が赤くなっていたり黒ずんでいたりしたら要注意。健康な頭皮は、青みがかった白っぽい色をしています。髪に覆われている頭部は、紫外線にさらされることが少ないので、日に焼けることがありません。また頭部には多くの毛細血管が集まっています。血液は赤黒いものですが、手首の内側や膝の裏などを見ても分かるように、血管は青白く見えるのです。
頭皮の水分と皮脂のバランスをチェック
皮膚の表面は、適度な水分と皮脂で覆われています。女性なら肌質チェックなどで、顔の水分量や皮脂量を測定した経験があるかもしれません。美肌の方は肌が柔らかいといいますし、理想のひとつといえる赤ちゃんの肌はプルプルしてとても柔らかいもの。柔らかい皮膚は、水分と皮脂のバランスのよい肌といえそうです。頭皮も顔と同様に皮膚ですから、水分と皮脂のバランスが大切。このバランスは、見た目では分かりにくいですが、あぶらとり紙を使えば、簡単にチェックできます。
シャンプー後整髪料等をつけずに、ドライヤーで髪をしっかり乾かしたら、頭皮にあぶらとり紙をあててみてください。どのくらいの時間で皮脂がついたかを見ることで、頭皮のチェックができます。
オイリーな方は、シャンプーのし過ぎや、シャンプー後のすすぎが足りない可能性があります。洗浄力の穏やかなシャンプーを選び、洗髪後は頭皮に洗浄成分を残さないよう、念入りにすすいでみてください。頭皮は40歳を過ぎると、ドライ傾向になることが分かっています。どちらにも当てはまるときは、今すぐに対策をはじめましょう。
参考://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj1979/27/4/27_4_550/_pdf
頭皮が硬くなる原因は?
頭皮は基本的に身体と同じく、血行不良が原因で硬くなっていきます。
・ストレス
・寝不足
・運動不足
・眼精疲労
・肩こり
・悪い姿勢
などで血行が悪くなり、柔らかかった頭皮が硬くなってしまいます。
歳を重ねるごとに、頭皮は硬くなってしまいますが、特に、長時間同じ姿勢でパソコン作業やデスクワークをしている方は頭皮が硬くなる可能性が高いと言えます。
他にも、直接的には関係ありませんが、毛穴のつまり・汚れがある場合は、頭皮がきちんと洗えていないということなので、頭皮が硬くなっている可能性は高いです。
一方、肌質(乾燥肌かどうか)やヘアスタイル(パーマやカラー)などは、頭皮の柔らかさにはさほど関係なく、原因は、日頃の生活習慣による事が多いです。
美容師として施術を行っていると、3分の1~半数の女性のお客様は、頭皮が硬くなっているように感じます。ご自分の頭皮が硬くなっていることに気づいていない方も多いです。
頭皮を柔らかくする3つのケア方法
では頭皮を柔らかくする方法をお伝えしたいと思います。ポイントは3つ。
1、頭皮を温める
2、頭皮を揉む
3、頭皮を押す
1つずつご説明していきます。
1、頭皮を温める
頭皮が硬くなっている理由は血行不良ですので、まずは頭皮を温めることが大切です。
シャワーで直接頭皮にお湯を当てて温める方法もありますが、できるかぎり、お風呂に浸かることで全身と頭皮の血行促進、老廃物の排出を促しましょう。
また、ホットタオルで温める方法も、頭皮を温めるためには効果はありますが、日常で継続しやすいお風呂で身体を温める方法をおすすめします。
2、頭皮を揉む(マッサージ)
頭皮全体を指で揉みましょう。両手で左右同時に、同じ動きでマッサージしていきます。この時、爪は絶対に立てないようにご注意下さい。
次に、前後左右だけでなく、円を書くように回しながら揉んでみましょう。一番頭皮の硬さが気になる頭頂部付近は特に、揉みほぐすようにマッサージし、できる限り、全体的に揉みほぐすことをオススメします。
また、お顔周りの頭皮も円と書くように揉むことでリフトアップ効果も得られますので、女性には特におすすめです。お顔周りは、円を書きながら上に引っ張るようにマッサージしましょう。
3、頭皮を押す(ツボ)
頭皮が温まっている状態で、指を使って頭皮をゆっくりと押します。この時も爪は絶対に立てないようにご注意しましょう。
頭皮には無数にツボが存在します。これらのツボの大半は、両目の幅ほどの約10センチ程度に密集しています。
押す際は、「コメカミ〜ハチ、ハチ〜襟足を真っ直ぐつなぐ線上」を押すようにしましょう。
頭皮を押す時のポイントは次の2点です。
・指の力を頭皮に対して垂直に押す
・ゆっくりと力を入れていき、数秒間押す
激しく強く押さずに、マッサージでツボを押すようにゆっくりと押しましょう。
押す強さは、少し痛気持ちいいくらいがオススメです。頭皮が硬くなっている箇所は、他と同じ強さで押すと痛い場合がありますので、押す箇所によって力を調節してみてください。
ツボ押し用の器具などでは硬すぎて、強く押しすぎてしまう可能性が高いため、指で押すことがおすすめです。最近ではヘッドマッサージ用の器具が増えているので、硬すぎないものであれば、利用してみても良いと思います。
硬い頭皮の対策はシャンプー前にもひと手間
柔らかな頭皮を保つには、日頃から頭皮の血行をよくしておくことと十分な栄養を届けることが必要です。日常に取り入れたい頭皮を柔らかくする方法を見ていきましょう。
いいこといっぱい!シャンプー前のブラッシング
シャンプー前のブラッシングには、それだけで簡単なマッサージ効果があります。このときおすすめしたいものは、天然毛のブラシです。
猪毛
静電気を起こしにくい。毛に硬さがあるので、毛先がしっかり頭皮に届く。毛髪が多い方におすすめ。
黒豚毛
猪毛よりやや柔らかめ。毛足が長いので、毛量が多い方におすすめ。
白豚毛
黒豚毛より柔らかい。豚毛では物足りない、黒豚毛では刺激が強すぎると感じる方におすすめ。
豚毛
柔らかめで頭皮に優しい。毛髪が少ないかた、髪が細い方におすすめ。
馬毛
豚毛より柔らかい。髪の傷みが気になる方、敏感肌の方におすすめ。
頭皮を柔らかくするために最適なタイミングや時間帯は?
頭皮マッサージには、特に控えるべき時間帯はありません。好きなタイミングで、リラックスしながら頭皮を揉んだり押したりしてみましょう。
おすすめのタイミングは「お風呂に浸かっている間」「お風呂から出た直後」です。身体が温まり、頭皮の血行が良くなっているので効果的です。
・健康な髪が生えやすくなる
・薄毛の予防
・頭痛の解消
・肩こりの解消
・眼精疲労解消
・不眠の解消
・お顔のリフトアップ
・リラックス効果
といったことが頭皮マッサージによって期待できます。
ときにはプロの手も!美容サロンでヘッドスパ
マッサージというと、ときには他者の手を借りるのがいちばん気持ちのよいものです。プロの手で行うヘッドスパでは、マッサージ効果はもちろん、普段のシャンプーでは落とせなかった頭皮の汚れまで洗い落としてくれます。硬くなった頭皮は毛穴周りまで硬くなりますから、汚れをため込みやすくなっているのです。
可能であれば月に1度は、美容室でヘッドスパをされるのが望ましいでしょう。
一番おすすめの間隔は、「月に1度、美容室ヘッドスパ」「週2回程度、自宅で頭皮マッサージ」です。この2つを組み合わせるのが望ましいでしょう。
生活習慣の改善から頭皮を柔らかくする
紹介してきたように、頭皮の直接のケアだけでなく、頭皮を柔らかくするには普段の生活から気を付けられることがあります。
・規則正しい時間の食事
・暴飲暴食をしない
・アルコールや喫煙を抑える
・十分な睡眠を取る
・ストレスを溜めない
・適度な運動をする
身体とつながっている頭皮は、日常の何気ない行動で柔らかさを失っている可能性も考えられます。身体が硬くなるのは緊張を強いられたり同じ姿勢を続けたりすることで血行が悪くなるため。また、目の疲れや肩こりが起こるのは、血流の悪さが原因のこともあります。頭部の血行不良にもつながりますので、数時間おきに身体を動かして、全身の緊張をほぐしてあげましょう。
また、毎日の食事に配慮して、頭皮や髪のための栄養を取り入れることも大切です。どの食品にどんな栄養素が使われているかは分かりにくいですから、まずはいろいろな食材をまんべんなく食べることを目標にしてみるといいでしょう。
普段の生活で気を付けられること
他にも、こんな事に気を付けてみることも多少効果があります。
・キツイ帽子を被らない
・帽子を長い時間被らない
・ストレッチや首を温めるのも血行を良くする
また、洗浄力が強すぎないシャンプーできちんと頭皮を洗い、毎日少しでも頭皮を揉むことが良いでしょう。
頭皮の健康は、日々の簡単な努力で良好に保てることが分かりました。柔らかい頭皮を保って、いつまでも美髪を保ちましょう。
頭皮を柔らかくするには、日々の積み重ねが大切
ここまで、頭皮を柔らかくする方法について沢山お伝えしましたが、なかなか全て実行することは難しいですよね?
そんな方には、先にお伝えした「頭皮を柔らかくする3つの方法」だけでも実践していただければと思います。
1、頭皮を温める
2、頭皮を揉む
3、頭皮を押す
この3つが一番簡単にご自宅で出来る頭皮を柔らかくする方法かと思います。
頭皮は、1度のマッサージや対策でいきなり柔らかくなるということはありません。
全身のコリと同じように、定期的に継続して対策を行わないと効果は薄いでしょう。週に1、2度でも、継続することで効果が出てきますので、ぜひ試してみてくださいね。
【ご協力いただいた美容師さん紹介】
プライベートサロン『Liss』(恵比寿)の代表、渡辺 真一さん
マンツーマン施術にこだわった美容室『Liss』。丁寧なカウンセリングで的確なアドバイスを行っています。


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